「春」
健:いやー、春だね。
時:春だねー。
健:えっ、おまえ春知ってんの?
時:あっ、俺ね、ちょっとみんなには言ってなかったんだけど、春、知ってんだ。
健:あっ、知ってたんだ。
時:知ってたんだよね。あれでしょ。季節の春でしょ?
健:いや、ちがう。四季の春。
時:あっ、そっちね。ま、まぁ、一緒だけどね。
健:いやーでも、今年はすんなり春来たねー。
時:だねー。だって後ろ振り向いたら、ちょうど、春いたからね。
健:いたね。あいさつしたもん。ちゃんと。おはよーざいます。ってね。
時:去年は、だって抜かされたもんね。ちょっと携帯いじってる間に、抜かされてたもんね、春に。
健:ちょっと待ってくださいよ。先輩。って言ったもん。
時:言ったよね。去年の春はあれかな、シャイだったのかな。後輩と喋るの苦手、みたいな。
健:あぁ、内弁慶タイプ。
時:そうそう。いやー、でも春はいいよね。
健:いいねぇ。だって、俺、春が一番すきだもん。鍋の具材の中で。
時:だよね。えっ、おまえ大根と鶏肉と春だったら、何最初に食う?
健:春。
時:だなぁ。そうなっちゃうなぁ。通の食べ方だね。もう、春食べちゃえば、そのお店がおいしいかまずいか分かっちゃうからね。
健:いやぁ、でも、なんといっても、春は花がきれい。
時:急にまともだよねぇ。・・・例えば、どんな花?
健:やっぱり、桜とか、タンポポとか菜の花とかカランドリニア、クリサンセマム・パルドーサム、スイートアリッサム、プリムラ・ジュリアン、プリムラ・ポリアンサ、プリムラ・マラコイデス、ユリオプスデージー・・・
時:(途中で割って入る)あっ、彼、花に詳しいんです。聞いてあげてください。
健:・・・あとはまぁ、エリンギとか。
時:(苦笑い)まぁ、最後植物ですらないけどね。
健:(急に)エリンギを一口大に切って、永谷園の「松茸の味お吸い物」といっしょに炊飯器に入れてご飯炊くと、もうほとんど松茸ご飯になりますから。
時:あっ、ぜひみなさんもやってみてくださいねぇ。
健:あれ、何の話だっけ。・・・あっ、炊飯器の白い煙がバァーってなってる所に手置いて、熱っ、ってなった話だ。
時:あっ、さっき、舞台袖でしてた話ね。
健:あの、CO2出てる所触っちゃったんだよね。
時:あの白い煙はCO2じゃないけどね。
健:違うの。あっそうか、光合成してることになっちゃうもんな。
時:まぁ、光合成はCO2出さないでね、取り込むけどね。
健:でも炊飯器ってすごいよね。・・・炊くよねぇ。だいぶ炊くよねぇ。
時:炊くねぇ。俺あんな炊くもの初めて見たもん。炊飯器初めて見た時、うわぁ、炊いてるなぁと思ったもん。
健:だって、炊飯器で炊くとお米おいしいもん。
時:いや、でもお米そのものもおいしいよね。
健:おいしいねぇ。農家の方々がこう丹精こめて、田植えをしてね。
時:田植えかぁ。田植えの季節だね。・・・・・・
二人:(遠くを見ながら)春だねぇ。
健:春はいいよねぇ。だって、春っていう言葉をくっつけちゃえばなんでもさわやかになるもん。
時:例えば?
健:(指で数えながら)春風とか春一番とか。
時:あぁ、さわやかだね。
健:あと、春場所。
時:相撲のね。まぁ、あんまりさわやかじゃないかな。
健:あと、ハルンケア。
時:尿漏れの薬かな。もう完全にさわやかじゃないね。
健:あとは、まぁ春雨。
時:あぁ、春雨はおいしい。俺、だって一番好きだもん。季節の中で。春夏秋冬どれが一番好きって言われたら、春雨って言うもん。即答する。
健:あぁそうなんだ。俺はね、春雨はね、四季の中で一番好き。
時:あっ、そここだわりかな。
健:いやでも俺はね、ほんとはね、春巻きが一番好き。
時:いやぁ、そこは春雨でしょ、おまえ。だって俺、鍋の具材の中で二番目に好きだもん。
健:じゃあ、例えばよ。めちゃくちゃおなかすいてて、もう何日も何も食べてないっていう状態の時、目の前に春雨と春巻きがあって、どっちかしか食べられないって言われたらどっち食べる?
時:(即答)春巻き
健:ほらー。
時:じゃあ、ダイエットしなくちゃいけない時、春雨と春巻きどっち食べる?
健:どっちも食べない。
時:(さわやかに笑いながら)おまえはほんと昔からずるいよな。
健:いやぁ、揚げ足とりたくなると、こころがうずきだすんだよなぁ。
時:うずきだす?うずき、うずき、卯月、卯月、卯月は四月かぁ・・・・・・
二人:(遠くを見ながら)春だねぇ。
健:(手を一回パンッとたたく。)よし、じゃあ本番用のアップテンポな漫才始めようか。
時:いや、もう十分だろ。どうも、すいませんでした。(健:礼のみ)